筋肉ではなく感性を鍛える?世界が注目するアートトレーニング

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連想ゲーム的な話です。

トレーニングといえばなにを想像するでしょうか。

ランニング、ダンベルやバーベルを使った高負荷、ヨガや柔軟もトレーニングの一環。

このように肉体を鍛錬し、柔軟性を上げる行動自体はもちろんトレーニングです。見た目にも反映されるように問答無用で自身の身体のレベルを向上してくれるフィジカルな動的行為は、アグレッシブなアクションであり分かりやすさも伴っています。

では、トレーニングはこのようにフィジカルな、身体面にアプローチするものだけでしょうか?

トレーニングで鍛えられるものとは?

たとえば瞑想はどちらかといえばメンタルにも関わるトレーニングといえます。その範疇でいうとヨガには柔軟効果があるとともに集中力を鍛える静的鍛錬であり、ただ身体を鍛えるだけでは得にくい能力をビルドアップする効果を秘めています。

(もちろん筋トレをすることでフィジカルが鍛えるとともに、対義語となるメンタルも鍛えられますが、どこに焦点を当ててトレーニングするかで手に入れたい能力値は変わるものです。RPGゲームやシミュレーションゲームではオーソドックスで、ほかにもスポーツゲームのパワプロとかやってる方ならパラメーターやら能力アップの概念があるのでピンとくるはずですね)

フィジカルとメンタル、そのどちらも鍛錬することでパフォーマンスはアップし、より能力を発揮できるようになります。

ではトレーニングといえば、フィジカルとメンタルを鍛えるものを指すだけでしょうか。

ほかにも人間は鍛えられるものを持っているということが話したいわけですね。

人間が身体と精神以外で鍛えられる部分。

それはなにか?

感性です。

感性のトレーニングとは?

「なんだスピリチュアルな話か?」と訝しがらないでください。宗教的精神性はたしかに感性を養うにはもってこいですし、宗教の効果というのもある種トレーニング的な力を有してはいるので興味深いですが、今回話題するのはどちらかというとアートに属する話です。

アート。宗教並みに苦手意識を有する分野かもしれません。アートといえば美術館や芸術家の作品をイメージされる方が多いのではないでしょうか。

たしかにピカソのゲルニカやらゴッホのひまわりなどをイメージして「うわー無理!」と拒否反応を示してしまう方もおられるはず。

(それをいうとカンディンスキーやジャンクソン・ポロックの抽象画を観たらますます嫌になるかもしれませんが)

とはいえ、この訳の分からないものを見て嫌になるものに触れるということ自体が、じつは感性を鍛えるという行為に直結しています。

というのも、脳には論理脳と呼ばれる分野と、いわゆるアートを司る脳の分野があり、頭でっかちに理屈ばっかりで考えているだけでは鍛えることができない場所こそがアートな脳髄部分です。

左利きは普段から感性を鍛えている

論理性を鍛えるというのは言うなれば右利き的な運動、つまり言葉を駆使して考える行為です。右利きの人間は左脳を使って物事を考えることに長けており、左利きは逆に右脳を使うことに長けています。

これは脳科学での分析結果でも出ているので、どちらの手を使うかはどの能力を普段から鍛えているかに直結する話でもあります。

一般的に左利きがユニークだといわれるのは、この右脳を使うことが当たり前になっていることが理由であり原因です。

つまり言葉ではなく感覚的であり直感で物事を捉え、発揮することに長けているのですが、その代償に左利きの子供は言語を使うことが苦手で、言葉を操ることに苦労するという側面もあります。

どちらが良い悪いという話ではなく、「どちらも鍛えたらよりパフォーマンスが発揮できますよ」って話です。

「両利き」という単語を耳にすればなんとなくすげえ人をイメージすると思いますが、まさにその通りで両方の脳を鍛えればハイパフォーマンスになることが、脳科学者による脳のMRI解析でも証明されています。

理屈だけではカバーできない脳のパフォーマンス面ってのがあるわけで、ではそのお堅いお勉強だけじゃあなかなか養えない力を感性の鍛錬で入手できれば、よりみなさん自身に内在する能力ってもんを発揮できるんじゃないでしょうか。

筋トレやランニングといった種類のトレーニングによるアプローチではなく、アートによるトレーニングで自身の眠っている力を解放しちまいましょう!というわけです。

(厳密にいえば運動によるトレーニングで脳は鍛えられるので、アート分野の脳髄と運動の関係はわりかし無関係ではなく親密であるとは存じます)

身近にあるアート「音楽」

じゃあアートってなんだよってとこですが、別に訳のわからん絵画や彫刻だけがアートってわけではありません。

身近にあるアートに属するものといえば、音楽が挙げられます。

ケンブリッジ大学で音楽の神経科学を専門とした脳科学関連の論文から、アーティストの創造性を解明しようという試みも行われており、音楽家は音楽訓練によって(これもトレーニングといえますね)をすることで音楽に関する統計やらモデルを脳内で作成し、その組み合わせによってメロディーが生まれているのです。

「新しい創造性は既存の物事の組み合わせである」というのは、かのスティーブ・ジョブズも語っていることであり、あらゆる組み合わせを実現することで新しいものを生み出すことが創造性に直結します。

ジャズの即興音楽は天才奏者の魔法ではなく、長年の音楽訓練による蓄積から直感的に組み合わせを生み出し、即興というセッションを奏でているというわけです。(もちろんこの直感が稀有であり鋭敏であるほど、天才と称されることにはなるでしょうが)

美術館にあるものだけがアートではない

身近な音楽のように、美術館に足を運んでの芸術鑑賞に限定せずとも、新たな発想でいえばファミコンのゲーム「マリオブラザーズ」のBダッシュという操作方法は画期的であり、またアニメのエヴァンゲリオンを見ても革新性の点で紛れもなくアートです。

新しいものを組み合わせた結果の斬新なものをアートと定義するなら、音楽シーンでいうと時代ごとに新たに登場した偉人ミュージシャンってのは各時代にいるもので、エルヴィス・プレスリーやジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、ニルヴァーナにXXXテンタシオン、ビリー・アイリッシュ、日本の音楽のメジャーシーンでいえば米津玄師やKing Gnuが新時代のアートの担い手といえるでしょう。

アートが小難しく感じられるのは当然で、それは今までにないものを目の当たりにしているからであり、そのときの脳の戸惑い、もっというと「知らないものにあったときの不安や嫌悪感」が苦手意識となって脳を疲れさせるのです。

だからその疲れてる、嫌だって感覚時代がアート脳をおもっきり鍛えてる証拠なわけで!

筋トレでも高負荷かけて筋肉痛にならなかったら筋肥大が起こらず筋力がアップしないのと同じです!

柔軟だってちょっと痛いくらいでナンボでしょう!!

トレーニングはなんでもちょっとシンドイくらいがちょうどいいならアートがしんどくて当然ってえ理屈!!

というのがアートを司る脳髄部分を鍛えるという話題に直撃してきます。

アートな脳を鍛えることは世界で注目されている

肉体のトレーニングやらメンタルのコントロールやらと同じように、どうしてアートな脳髄を鍛えることが重要なのか。

じつはとある名門美術学校には、世界中のブレインとも言える優秀な方々が顧客として学びの機械を得ています。

イギリスのロイヤルカレッジオブアートは、世界で唯一の修士号と博士号を授与できる美術系大学院大学です。

この大学は世界のアート・デザイン分野のランキングにおいて、2015年の世界大学ランキングで1位に輝いており、また視覚芸術分野でも最高峰の実績のある超名門校。

当校の優れたデザイン力を証明するにおいて、『吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機』で有名なダイソン社の創業者であるジェームス・ダイソンが挙げられます。

彼はこの世界を代表する英国の美大でプロダクトデザインを学んだ経緯があり、アカデミーでの学びがどれほどワールドワイドな商品を生み出したかは言うに及びません。

そんなアートの叡智が集まる大学において、ユニークなカリキュラムが用意されているのです。

その名も「グローバル企業の幹部トレーニング」です。トレーニングとは言っても、もちろん名門美大なのでバーベルを使ったマッスルを育成する内容でないことはお察しの通りかと存じ上げます。

世界のエリートが学ぶアートプログラム

そして集まってくるグローバル企業の幹部というのも、もちろん有名ボディビルダーでもなければ、世界最大の総合格闘技団体UFCのトップランカーがやってくるわけでもありません。

各社の将来を担うことを期待された幹部は、ふたとえば自動車のフォード社や、科学に根ざしたグローバルヘルスケア企業(いわゆる製薬会社ですね)のグラクソ・スミスクラインなど名だたる企業が参加しています。

いわゆる超エリートたちが美術大学で美術の勉強をするために、大学側が本格的なアートの叡智を授けるカリキュラムを用意しているというのは、なかなか通常の発想ではピンとこないかもしれません。

冒頭で述べた連想ゲームのように、トレーニングといえばダンベルやらランニングなどのフィジカルトレーニングや、ヨガや瞑想によるメンタルトレーニングが浮かび上がるものでしょう。

しかし、美術大学とグローバル企業のエリート幹部というのが連想ゲームでパッと思いつくのはなかなか稀有。こと日本ではそんな事例を聞いても「なにそれ笑笑」「意味不明ー」「まわりのみんなはそんなことやってないし…」と独自性を拒絶するのに特化した島国ジャパンで代々受け継いできた才能を活かし、日々の決まりきったルーティンに戻っていくことでしょう。

ですが世界トップ同士がガッチリ結びついてるのが世界の現実なので、どれほどアートを学ぶことが重要視されているかは火を見るよりも明らかっつうわけで。

欧州のエリートがやっていることなので日本で受け入れられないのも無理ないかもしれません。ファッションでも日本に海外のトレンドが入ってくるのはおっそいですからね。

また、グローバル企業がアートを学ぶという流れ自体は海外では別に最近はじまったわけではなく、アメリカの経営学誌ハーバードビジネスレビューでは、芸術学修士についての記事を2008年には掲載しています。

ほかにもクリエイティビティとリーダーシップを掛け合わせて問題解決を行おうという試みは、スタンフォード大学では10年以上前から行われており、また北欧系のビジネススクールにおいても創造性を中心としたカリキュラムが組まれていたりと、アート関連の話題について取り上げれば枚挙にいとまがありませんなという状況です。

だれもが潜在能力を鍛えられる訓練

このように、「アイデア」「クリエイティビティ」「創造性」「発想」「独創性」といった言葉はなにも芸術家やらクリエイターのものだけではなく、どれだけ直感的スキルや感性的スキルが未来を作り上げるのか注目されています。

それは高尚高明な学力を有したエリートたちが己のポテンシャルをより向上させるために、自身に眠った能力を解放しようとこぞって美大で学びの機会を進んで得ているわけです。

競技目的に限定せず、トレーニングの本質が『自身の能力を向上し、よりよい人生を送ること』だからこそ、筋トレやヨガだって一部のアスリートの者のみだと捉えられたいたものが人類みなにとって有益であるという常識が流布し、結果的にトレーニングジムが美容室みてえにそこら中にあふれかえるようになったわけで。

ならば感性を鍛えるというアートトレーニングがGold’s Gymばりに世界中で見られるようになる日もそう遠くないのではないでしょうか!

その前兆ともいえる現象が美術館では見られています。というのもニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのテート・ギャラリーなど世界の名だたるミュージアムには、社会人のギャラリートークプログラムが用意されています。

これは解説者であるキュレーターと一緒に作品の解説やら逸話を説明してもらいながら美術館を廻るってな教育プログラムなんですが、以前は観光客やら学生が多かったこの取り組みに、スーツ姿のいかにも知的な方々の姿が散見するようになったのです。

出勤前の時間に貴重な時間をアートの学びに費やすということを実践しているのが世界的エリートであれば、いかにアートの学習が重要であるかを物語っています。

筋トレ、柔軟、からのアート!

アートにまつわるトレーニングの話がいかに重要か興味津々ってえなわけで!

肉体的トレーニング、精神トレーニング、そして感性的トレーニングと様々な鍛えが存在し、それは自身の能力をアップさせるにゃあもってこいなのは言うまでもありません!

自身を鍛えるってのにはいろんな方法があるもので、鍛錬の世界は幅広く奥深く底が知れませんな!