「プライベートを犠牲にしてまでお金持ちになりたいとは思わない」という意見があったので、高所得者はプライベートを犠牲にしているのかを調べてみました。
参考にした統計情報
以下の統計を参考にしました。
社会生活基本調査 平成28年社会生活基本調査 調査票Bに基づく結果 詳細行動分類による生活時間に関する結果 生活時間編 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
この調査から、一日の時間をどのような活動に使っているのかを知ることができます。
一日の行動は、以下のように分類されています。
- 有償労働……収入を目的とする仕事。副業として行った仕事や通勤を含む。
- 無償労働……家事,育児,ボランティア活動など収入を目的としない仕事
- 学業,学習・自己啓発・訓練……学校で行う学業や自由時間に行う学業,学習・自己啓発・訓練。通学を含む。
- 個人的ケア……睡眠,入浴などの身体的ケア,食事などに関する行動
- 自由時間……交際,趣味,スポーツ,テレビなど各人が自由に使える時間における行動
この中から、「有償労働」と「自由時間」についてまとめたいと思います。
項目が多くなると分かりづらいので、自営業などは省きました。
会社に雇われている人、会社の役員の統計をグラフにまとめました。
先に結論
まとめると、以下のような傾向が見られました。
- 年収399万円以下では、収入が増えると労働時間が増える傾向がある。
- 年収399万円以下では、収入が増えると自由な時間が減る傾向がある。
- 年収400万円以上では、収入が増えると労働時間が増えるとは言えない。
- 年収400万円以上では、収入が増えると自由な時間が減るとは言えない。
そして、年収1000万円以上の「会社の役員」は、比較的に自由な時間が多いようです。
本当に忙しい人はこの統計には反映されない
統計の結果を見る前に注意が必要だと思った点があります。
なお,不在のため調査書類の配布ができなかった場合は何度か訪問し,やむを得ない理由により,調査を行うことができない世帯があった場合は,結果精度を確保するため,調査世帯を追加抽出しました。
ガチで時間がない人は、この調査に協力する暇すらないよね。
ですので、調査の信憑性は割り引いて考えた方が良さそうです。
収入別労働時間
Y軸の単位は「分」です。
一日の労働時間が少ないのは、集計の期間が休日だった場合も計算に入っているからです。
このグラフだと文字が小さすぎてとても見づらいので、分けてみます。
50万未満は「会社などの役員」のデータがなかったので省いています。
50~249万円では、労働時間が増えると収入は増加しているように見えます。
400万円以上になると、年収が増えても労働時間は増えていません。
むしろ、「会社の役員」に関しては減っているようにも見えます。
収入別自由時間
お次は、一日自由に使える時間の平均です。
この「自由時間」には、家事や育児、入浴、睡眠、学習は入っていません。
「交際,趣味,スポーツ,テレビなど各人が自由に使える時間における行動」だそうです。
文字が小さく見づらいので、こちらも分割します。
50万未満は「会社などの役員」のデータがなかったので省いています。
~399万円では収入が増えると自由時間は減少しているようです。
400万円以上では、年収に応じて自由時間が減っているようには見えません。
1000万円以上の「会社などの役員」は、むしろ自由時間が多いように見えます。
収入が多いからと言って、プライベートを犠牲にしているとは言えない
確かに、50~399万円では、収入が増えると労働時間が増えていきます。これは、時間給で働く人たちがこの層に多いからではないでしょうか。
しかし、400万円以上ではそうでもないようです。
400万円以上の層では、収入が多くなるほとに労働時間が増えたり、自由時間が減ったりするようには見えません。
むしろ、会社の役員に関しては、1000万円以上では自由時間が増えていました。
まとめ
少なくともこの統計では、「金持ちは収入を得るためにプライベートを犠牲にしている」とは読み取れませんでした。
労働時間でお金を稼ぐというのは、とても効率が悪いというのが分かります。
同じ時間働いて、いかに生産性を上げるかが重要ですね。