いかにしてデータは人を騙すのか

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テレビ、新聞、ネット、世の中にはたくさんの情報が氾濫していますが、そのほとんどが偏ったデータであると考えるべきです。情報を取捨選択するには、まずは疑ってかかることが重要です。

たとえば、テレビ番組などでよくある「渋谷で100人に聴きました」なんてツッコミどころが満載です。そもそも、100人という分母が少なすぎますし、渋谷が日本全体の縮図とは限らないのです。渋谷と秋葉原で恋愛に関する質問をした時、同じ結果が得られるでしょうか?やってみなきゃ分りませんが。

このように、世の中には偏った情報が溢れかえっています。今回は、統計などのデータを利用した印象操作について書いていこうと思います。

グラフを使った印象操作

ある情報をグラフで提示する時、グラフの描き方一つで全く異なる印象を与えることができます。下のグラフを見て下さい。

縦軸を0から描いたグラフです。このグラフですと、売上の伸びがイマイチな印象を受けますね。

では、お次は0~88000(万円)を省略して描いてみます。

同じ数字なのに、グラフの描き方でかなり印象が変わりますね。

お次は日経平均の推移です。

引用元:日経平均株価【998407】:国内指数 – Yahoo!ファイナンス

上は5年間の株価の推移です。長期的なスパンで見ると上下しながら上昇しているように見えます。


引用元:日経平均株価【998407】:国内指数 – Yahoo!ファイナンス

こちらは1年間のスパンで見た日経平均の推移です。こちらは右肩下がりに見えますね。

このように、切り取り方の違いで全く違う印象を与えることができます。

平均値の偏り

下のグラフは年収の分布です。

引用元:調査の概要|厚生労働省(平成26年版)

平均所得は528万9千円ですが、中央値は415万円。中央値というのは、全体の真ん中に位置する人の数値です。

一部の高収入な人(グラフの右側にいる人達)が平均値を押し上げてしまい、実際の状況とはかけ離れた数字になっています。

所得が100~300万円あたりに集中しているのに、平均値は528万9千円。あなたが平均年収レベルの男性になかなか出会えないのは、そもそも平均年収が実情よりも高いからなんです。若い男性となるとさらに厳しいのが現実…

別の理由が絡んでいる場合も

以下の記事を読んで、あなたはどのような感想を持ちますか?

警視庁は24日、今年1~6月のドメスティックバイオレンス(DV)に関する同庁への相談件数が、前年の同じ時期に比べて約25%増の2441件で、2000年の統計開始以来、最多だったと明らかにした。  警視庁によると、摘発件数は約2倍の469件で、暴行や傷害容疑が87%を占めた。  一方、ストーカーの相談は約1割減の1045件。内訳は「付きまとい」が30・9%と最も多く、交際を迫るなどの「要求」が26・9%、「電話やメール」が19・4%。  加害者と被害者の関係は「元交際相手」が54・4%、「知人」が10・3%、「面識なし」が4・7%だった。

引用元:DV相談件数が過去最多、警視庁 1~6月 – 共同通信 47NEWS(現在非公開)

これを読むと、「DVが増えているんだ、大変なことだ」という印象を受けるかもしれません。しかし、よく考えてみて下さい。

今まではDVを受けていた人達が、相談せずにじっと我慢していたのかもしれません。それが、積極的に相談に行ったり、警察が協力的になったのかもしれません。

実は、2000年にある事件があって、それまで「民事不介入」だった警察が方針を改めて、積極的に民事の相談に応じるようになったそうです。

このように、ただ数字を見るだけでなく、その背景にどんな要因があるのかを深く考えることが大切です。

データ収集の方法

データ収集の方法によって結果は違ったものになります。

例えば、各新聞社では世論調査において「RDD方式」というのを採用しています。要は、ランダムに固定電話にかけまくる方式です。これには問題点があります。

そう、若い世代が固定電話を保有していないという点です。

基本的には若い人は携帯電話で済ませてしまいますし、単身で家にいることが少なければ固定電話は必要ありません。

そのため世論調査の結果というのは、若い人達の意見が反映されにくくなってしまうのです。

最近ではネット世論調査というのもあるので、新聞の世論調査の結果だけではなく、それらも併せて見る必要があります。

データを全て鵜呑みにしてはいけない

新聞やテレビ、ネットなどのニュースは「私たちを騙そうとしている」と疑ってみることが重要です。間違った数字をベースに物事を考えても、判断を誤ってしまいます。

「この数字の裏では、何が起きているのだろう」

「どのような調査方法だったのか」

「他の要因はないのだろうか」

様々な角度から物事を捉える習慣を身につけるようにしましょう。

そして、この記事に関しても、疑ってかかってください。

参考文献

今回はこちらの本を参考にしました。

統計入門者でも読みやすい内容なのでオススメです。情報が溢れかえっている中、正しい情報を取捨選択する方法が学べます。ニュースをよく観る人は読んでみて下さい。

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